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2007-04-15

試合が無いので、最近読んだ本について

土曜日に試合が無かったのでしょうがないが、リーグ戦暫定ブービーですよ、わが軍は。
まあ日曜日勝てばいいんだけどさ。

今のうちに最近読み終えた本の感想などを。

翻訳教室翻訳教室
柴田 元幸

新書館 2006-02
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著者は東大文学部教授で、翻訳家としても有名な柴田元幸。この本は著者の翻訳演習授業の内容をほとんどそのまま収録したもの。
授業形式としては、まず、学生に課題文(Dybec,Carver,Brautiganなどの短編)を翻訳後提出させ、その任意の学生訳をたたき台に教授と学生がディスカッションしながら訳文を完成形に持っていく、というもの。

ボクは残念ながら東大卒でも文学部出身でもないので、こういう授業がオーソドックスなものかどうかはわからないのだが、学生たちがナマイキにも教授につっこみを入れたり、質問をぶつけたりしていてなかなか活発な授業風景が展開されている。単にいち授業の採録というだけでなくフツーに読み物としてもスリリングで面白い。さーすがは、東大文学部である。別にイヤミではなく。
ボク個人の学生時代を省みると、この本の学生たちの英語力には遥か及ばないレベルではあったが、遅まきながら英語学習に目覚めたものとして、まさに「世界一受けてみたい授業」である。(なにしろ、ゲストにJay Rubinや村上春樹の豪華メンバーである)
まあ、単なる英語学習者がこんな事言うのはおこがましいのであるが、翻訳というのは一種の職人技である。伝達可能な技術の蓄積と、伝達不可能な文学的センスを併せ持ってこそ成り立つ。いくら英語が読めたところで、そのテキストが語る「声」を聞き取れなければ、訳した文章はテキストの魅力を伝えることはできないだろう。(そういった意味において村上春樹の翻訳文の魅力は、彼の「耳」のよさから来ているような気がする)
また偉そうな事を書いてしまった。
「英米文学」や「翻訳」に興味ある人には、是非。